改革の嵐の中で

《ここが弁護士事務所だと言われれば、確かに机の上に模範六法や判例集が並んでいる。だが、部屋の真ん中にはこたつ、カーテンレールには洗濯物がぶら下がり、隣室には布団が敷きっぱなしになっている。
 東京の新人弁護士の男性(34)は3月に弁護士登録してすぐ独立開業し、アパートの2DKの自宅を事務所とした。いわゆる「即独」(即、独立)、「宅弁」(自宅開業の弁護士)の一人だ。
 「社会的弱者の力になりたい」と弁護士を志し、旧・新試験を合わせ7度目の挑戦で司法試験を突破したものの、雇ってくれる弁護士事務所は見つからなかった。》

以上は2013年6月28日付の日本経済新聞の朝刊に記載されてゐた「法曹の誤算~上~」といふ記事から引用した文章です。

かつて僕も弁護士を目指して勉強してゐた時期があります。僕としては懸命に努力したつもりですが残念ながら合格には至りませんでした。東大卒の受験生でもなかなか合格することができずベテラン受験生になつてしまふのが司法試験の世界なのです。

以前に当ブログでご紹介した『苦節23年、夢の弁護士になりました』(いそっぷ社)の著者、神山昌子さんは37歳から試験を受け始め59歳で最終合格(短答式試験、論文式試験、口述式試験を一年のうちに連続で合格することをかういふ)してゐます。ちなみに彼女の卒業した大学は名門I・C・U(国際基督教大学)です。

僕は司法試験を諦めてよかつたと思ひます。実務能力など全くないし心身ともに強靭でもありません。対人折衝もどちらかといふと苦手です。思ふに我々は自分の得意なフィールドで自分の仕事をすればいい。二、三回受験して目鼻が付かなければ潔く方向転換すればいい。虚栄心から職選びをしてはいけないと考へます。僕が高校生の頃に繰り返し読んだ二木紘三の『さわやか受験宣言』(聖文社)にはこんなことが書いてありました。以下に一部を引用して本記事を締めくくることにしますね。

《こうした差があっても、一年か二年のことなら、本人の努力によってカバーすることは可能だ。だが浪人生活が三年以上に及ぶと、頭や体が単一の刺激だけに慣れてしまい、それ以上のものを求めない心理的なパターンができあがってしまうことになりがちだ。こうした差は、かなりあとまで尾を引く。人によってはそのまま年を重ねていくことになる。》


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書評『東京ラブストーリー』

東京ラブストーリー

過日、実家に行つた際に母から処分するやうに云はれて漫画を四冊渡されました。我が住まひに持ち帰つた処分するべき四冊の漫画とは柴門ふみの『東京ラブストーリー』(小学館)であります。

だいぶ昔の漫画で当時の読者層はみな中年になつて所帯を持つてゐることでせうね。非常に有名な漫画でテレビドラマ化もされてゐます。古典的名著(?)でもありますし閑があつた時にぱらぱら頁を繰つてみました。

しかし到底、読む気になりません。いつたい僕はトレンディードラマ(死語?)が嫌ひなのです。一巻目で早くも躓いてしまひ先に進めません。処分しようと、すでにヤフオクに出品してゐたので意を決して読み始めると意外にも勢ひがついて結局、最終巻まで読むことができました。

これは僕の勘ですが同書は原作よりテレビドラマで観たほうが面白さうな気がします。テレビドラマが原作に優るといふのは大変珍しいことだと考へます。その理由はどうしてでせう。

思ふに柴門ふみの作品に登場する人物は顔は云ふまでもなく全体的に淡泊に描かれてゐるからですね。一コマ一コマの画があつさりし過ぎてゐます。僕がなかなか感情移入できず同書の一巻目で足踏みしたゆゑんです。物語の内容は可もなく不可もなくと云つたところでせう。

実は同書は文春文庫からも上下二巻に分かれて発売されてゐます。古本屋で買えば一冊105円の本です。文春文庫のカヴァーの裏にかう説明文が書かれてゐました。一部を手短に引用します。

すなはち同書は《テレビドラマが「月曜日は街からOLが消える」と言われるほどの社会現象となった、恋愛漫画の金字塔。》なのださうです。

柴門ふみの漫画は他にも『あすなろ白書』(文春文庫)の上巻を一冊持つてゐますが、これから先、頁を繰ることはないでせう。彼女の漫画は『東京ラブストーリー』だけ読めば十分だと思ひました。


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プロフィール

ヨシ樹

Author:ヨシ樹
昭和に生まれ、平成を生きる日本男児。
東京の大学を卒業して故郷の愛知県に戻る。
肉体労働や家庭教師、塾講師を経て現在に至る。
現在、未曾有の大不況下で苦しい転職活動を余儀なくされている。
経済状況は極度の貧乏。某市内の賃貸マンションを棲家としている。
いわゆる「勝ち組」「負け組」という二元論的なステレオタイプが大嫌い。
趣味はブログ執筆、読書、六弦ベース、オートバイ等々。ちなみに大型自動二輪免許保有。かつてハーレーを所有。
夢はオートバイでの海外ツーリング。具体的にはユーラシア大陸をBMWで走破することなどを考えている。
日本経済の酷いデフレを憂いつつも某市のリサイクル・ショップや古本屋によく出没する。
実は牧師の息子であり、幼い頃から聖書と教会に親しむ。

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