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卑怯者に告ぐ

僕が当ブログでエッセイを書いてきて随分、久しいですが文章を草す際に時々、思ひ出す文章があります。それは作家、平野啓一郎の『文明の憂鬱』(新潮文庫)に収録されてゐる「無常ということ」といふエッセイの冒頭です(この題名は明らかに評論家、小林秀雄のそれを意識してゐますね)。

このエッセイの冒頭をぼんやりと時々、思ひ出します。そして、そこに書かれてゐる批判を恐れるのであります。少し長くなりますが同書の「無常ということ」の冒頭部分を引用いたしませう。

《少し前のことになるが、私は或る評論家がインターネットのウェブサイト上に、八坂神社の前にコンヴィニエンス・ストアが出来たことは怪しからんと憤慨しながら書いているのを読んで、乱暴な口調の割には何事に於いても浅薄で一向に核心に触れないのが常にこの人らしい話だと苦笑したことがある。それならば、そもそも祇園の交差点をあれほどの量の自動車が往来していることはどうなるのだろう?外国産の高級車も走っていれば、市バスも轟音を鳴り響かせている。そうした風景には一向に目がゆかず、殊更にコンヴィニエンス・ストアなどに着目してみせるところが、私には何とも安易な語り口のように思われたのである。》

書き手が文章を草すときは常に読者を意識してゐるといふことは、すでに何度も繰り返し書いてゐることですが安易な語り口にならないやうにどんな時も反論を想定して自分の文章に自分でツッコミを入れる作業をしてゐることはご存知でしたでせうか。これをいはゆる推敲と云ふのですね。それなりに見識のある書き手にとつては嫌がらせのコメントなぞ痛くも痒くもありません。むしろ、それをネタにひとつの記事を書きあげるくらゐの余裕と、したたかさを持つてゐるものです。

怖いのは上記に引用した文章で批判されてゐる或る評論家のやうに勝手な感想や適当な思ひ付きを綴つて、その脇が甘い文章を正当なロジックで理詰めで論難されることです。平野啓一郎のやうにそれができない卑怯者だからこそ匿名の嫌がらせのコメントをして溜飲を下げてゐるのでせう。困つたものです。理詰めで論難するといふのは高度な知性が必要とされるものです。それができないのなら嫌がらせなぞに走るのはやめて、せめて口を噤(つぐ)んでゐたまへ。黙つてゐれば愚か者でも利口に見えるものです。


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夢の弁護士

苦節23年の夢

つひに神山昌子の著書『苦節23年、夢の弁護士になりました』(いそっぷ社)を手に入れることができました。例によつて、またヤフオクで落札したのです。本体料金300円に加へて送料290円の合計590円で落札できました。

これは、いい買ひ物ができたと思ひました。同書はアマゾンだと一番、安い古本であれば送料込みで1002円(11月5日現在)です。一般に書籍はアマゾンの得意分野とされてゐますがヤフオクでも、かういふ掘り出し物があるのですね。

神山氏の本は届いてから三時間くらゐで読み了へました。実に面白い。同書の筆者は37歳から司法試験を受け始めて59歳で最終合格してゐます。その間に色々なことがあります。思ふに、そこが同書の読みどころのひとつでせう。

弁護士として働き出すのは還暦を過ぎた61歳からです。本の題名にもあるとほり23回、司法試験を受け続けて、やうやく夢が叶つたのであります。言葉を換へて云へば自分の生涯の大半を司法試験に費やして初志貫徹したのであります。

昔、床屋で散髪してもらつてゐたら、こんな話を聞きました。すなはち、僕の住む市内の某進学校を卒業した受験生が東大医学部を11回、受験して、やうやく合格し、晴れて入学できた、といふ話でした。僕はその話を聞いたときは、そんな人もゐるのか、と驚きましたが神山氏の場合は、ほぼ、その倍の時日がかかつてゐます。

両者について共通するのは、その並々ならぬ執念です。決して諦めなかつた。合格するまで気持ちが折れなかつた。すこぶる強靭な精神力の持ち主だと僕は思ふ。しかも神山氏の場合は専業受験生ではありませんでした。彼女は若い頃に離婚してシングル・マザーとなつてゐたので働いて子供を養いながら勉強を続けたのであります。

子育てをし、自分の母親の晩年には介護もしてゐるのです。働きつつ家事も介護もこなしながら、あくまで自分の夢にこだはり、たうたう23回目の挑戦で栄冠を手に入れます。何といふヴァイタリティだらう!さういふ話が面白くない筈はないのであります。読書の秋に皆さんにも、ご一読をお勧めします。


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プロフィール

ヨシ樹

Author:ヨシ樹
昭和に生まれ、平成を生きる日本男児。
東京の大学を卒業して故郷の愛知県に戻る。
肉体労働や家庭教師、塾講師を経て現在に至る。
現在、未曾有の大不況下で苦しい転職活動を余儀なくされている。
経済状況は極度の貧乏。某市内の賃貸マンションを棲家としている。
いわゆる「勝ち組」「負け組」という二元論的なステレオタイプが大嫌い。
趣味はブログ執筆、読書、六弦ベース、オートバイ等々。ちなみに大型自動二輪免許保有。かつてハーレーを所有。
夢はオートバイでの海外ツーリング。具体的にはユーラシア大陸をBMWで走破することなどを考えている。
日本経済の酷いデフレを憂いつつも某市のリサイクル・ショップや古本屋によく出没する。
実は牧師の息子であり、幼い頃から聖書と教会に親しむ。

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